第3話 データの行方と謎

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「カラン、質問の続きをどうぞ!」 『もう余計なことは言いませんよ』の意味を込めて口を覆う。ひきつった顔が元に戻らないが、カランの意識をそらす方が先だ。目の前の人物はというと、細めた視線を戻さず質問を続ける。 「次、エスペランサに関することだ。 お前はラグナロクに気付いたのはいつだ?もしくは最初からあったのか?」 「最初から存在には気付いてたよ。でもおじさんが『試作段階だから駄目だ』って言ってたから触らなかったし、確認しようにもプロテクトがかかってるから手も出せなかったよ」 結局おじさんは失踪し、今日に至るまでラグナロクのデータを引き出すことすら出来なかった。 まあ中身を覗いても内容が解らなければ意味がないから、そういう意味では良かったのかもしれない。 「お前のSPCは最初期の物だが、最新版にはしなかったのか?」 「年に何度も買えるものじゃないんだからホイホイしないよ。やろうと思ったことはあったけど、なんでかエラーが出てくるから諦めたんだ」 エラーを無視して移行することも出来たが、それが原因でデータを消失する事例もある。SPCも古いものではあったが不具合も無かったし、そんな事でエスペランサを失うのは絶対に避けたかったのだ。 「なるほどな。器を入れ換えれば、どれだけ痕跡を消そうとも古い方にデータの欠片が残る。それを元に復元される可能性も無くはない。となれば最初から縛っておけばいい」 体勢に疲れたのか組んでいた足を崩すカラン。自分もしびれが限界となってきたので刺激しないようあぐらをかく。 「浅知恵ではあるが、お前が手放さない限りラグナロクが漏れることはない。もっともお前はその気すら起こさないだろうがな」 「当たり前だ」 挑発的な言葉に間髪入れずに返答する。 「何度も言っているだろ、エスペランサはオレの半身だ。誰かに渡すつもりなんて一切ない。 それに」 ずいっとカランに詰め寄り笑う。身動ぎすらしない相手の近くに寄るのはあまり好ましくないけど、この際気にしない。 「万が一そうなったとしても、困るのはカランでしょ? 助けてくれるよね?」 ピクリとも動かなかったカランも愉快そうに笑みを浮かべる。 そうそう、カランはそういう顔でなくちゃ。 「出来ればそんな事にならないよう祈ってる」 話のわかる相手でよかったよ、本当にね。 .
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