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「『影狩り』?なにそれ?」
学校の帰り道、そんな噂がたっていることをマリアから聞いた。
「なんでもバトルに負けたら強制的に影法師を奪われるみたい。特に大会なんかで優勝した経験のある人たちが狙われているらしいわ」
「へー。オレには関係ないや」
肩をすくめて怖がるマリアに生返事を返す。
大会で優勝するような強いやつが狙われるならオレには関係ない。大会なんて一度も参加したことがないし。
「あ、アキラは強いわよ。大会に参加したら絶対優勝出来るのに!」
「オレはシャドウは好きだけど何も勝つためだけにやってる訳じゃないし、それに母さんが…」
言いよどむオレに、マリアは察したようにため息をついた。
「まだ日向子さんに言ってないの?シャドウやってるって」
「母さんが許してくれるわけないじゃん。
おじさんが行方不明になった原因かも知れないのに……」
母さんの兄、つまりオレの叔父はシャドウの開発に携わり、完成した直後に消息を絶った。何でかは知らないけど、母さんはそれをシャドウのせいだと思っているみたいだ。
それなのにシャドウで遊びたいなんて、そんなの言えるわけがない。
「まったく。とにかく、アキラは気を付けて。
大会に参加してなくても巻き込まれるかもしれないから!」
「はいはい。じゃーな!」
マリアの説得を話半分に聞きながら家路を急ぐ。
だからオレには関係ないって。
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