第1話 日常から非日常へ

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「ただいまー。母さん?」 用事があるから早めに帰りなさいという母さんの言い付け通り、家へ帰るがそこに母さんはいない。 「買い物かな……ん?なんだこれ?」 端末に届いたのは一通のメール。 差出人は知らないアドレス、件名は無し。内容もシャドウのプログラムデータと位置情報のみ。 「迷惑メールか…。」 そう思い削除ボタンを押すもなぜか操作が効かない、それだけではなくメールに添付されていたプログラムもダウンロードが開始された。 「はあ!?ちょ、アカウント乗っ取りとかウイルスでも入ってるのか!?」 様々な操作をしても中止されない。端末自体を強制終了しようとした時、ダウンロードが完了してしまった。 思わずため息をつく。どこの誰かも何のデータかも知らないが、オレのエスペランサに何を入れてくれたんだ。特に昨日プログラムのバグ掃除したばかりなのに。 とはいえ、ダウンロードしてしまったものは仕方がない。データを確認すべくシャドウをSIモードで開く。 「…は?」 出てきたのはいつものシャドウではない。 普段の俺が使用しているシャドウは企業が売りに出している専用データで作られたものだ。パーツごとに売っている物もあれば、セットで売りに出している物もある。完成されたデータなのでカスタム出来ない事が難点だが、その分プロが組んだプログラムなので情報処理の時間は短いしなによりバグが少ない。すでに完成しているデータなのでバグが入り込む事が滅多にないのだ。 ついでに説明すればオレのエスペランサに使用しているデータはナイトスタイル。汎用性に優れクリティカル値が高い黄属性に最も相性がいい。初心者から熟練者まで幅広く対応出来るデータだ。 だがこれは違う。 新作は毎週のように出ているし、それをすべてチェックしている。どこを見ても製品ナンバーが無い上にこんなデータは見たことがない。 製品ナンバーが無いなら素人が独自に作ったプログラムに違いないがこれはあまりにも出来すぎている。 既存のデータを取り込み、それを組み込んだ上で新しいプログラムを成立させた。それ故に既製品と大差ない、いやそれ以上の高度なプログラムが組み込まれたシャドウへと進化していた。 .
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