374人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
それでも少しして声がかかり、ジョルジュが大きな扉を開ける。どっしりとした玉座には一人の青年が座り、側に控えていた文官も一礼して下がっていく。人払いがされたそこで、その人物は実に嬉しそうな笑みを見せて一同を迎えた。
ジョルジュを先頭に、ランバート、ゼロス、コンラッド、ボリスと後に続いて拝礼の格好を取る。床に片膝をつき、片方は立て、頭を下げた。
「陛下、帝国騎士達を連れて参りました」
「ご苦労だった、ジョルジュ」
通る声は若く雄々しく、そして気力に溢れている。心地よいと感じる声音には、やはり好意的な響きが感じられた。
「森を越え、遠路遙々よく来てくれた。歓迎しよう。表を上げてくれ」
言われ、姿勢は崩さないまま体を起こす。そして、そこに立つ人物を今度はしっかりと見る事ができた。
強い光を放つ銀の髪をショートにした、男らしい色香のある人物だった。切れ長の緑色の瞳が興味津々と一同を見ている。肉感的な唇にも笑みを浮かべた人は、先頭にいるランバートへと視線を止めた。
「お前が、ジョシュアの息子か?」
「はい。ランバート・ヒッテルスバッハと申します」
「あいつに似てないな。美人の奥さん似とは羨ましい」
砕けた口調になったクシュナート王は玉座から下へと気さくに降りて来て、膝をつくランバートの顔をマジマジと見る。そして、ニッと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!