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「濡れたね。下も脱いでしまおうか」
「あ、あの、その前にボリスも、その……脱いで欲しい」
「あぁ、そうだね」
思えば完全に衣服を着たままだった。ベッドを降りて服を脱ぎ、側の椅子の背もたれにかけていく。フェオドールは上半身を起こして、でもまだ濡れたズボンは履いたままだ。
「どうしたの? 脱がないの?」
「あの……ボリス、怒らない?」
ん? このパターンは……
さっきのデジャビュかと思う様子に、静かな怒りが沸き起こる。これが本当にそのままなら、あの男の竿を今から切り落としに行きたい。
でもこの怒りは見せない。フェオドールが怯える。自分に向けられていると勘違いする。だから笑っている。当然怒ってはいないのだから。
「怒らないから、自分で脱いでごらん。勿論嫌いにもならないし、汚いなんて思わない。酷い事もしないから」
「本当?」
「本当だよ」
ようやく、おずおずと自らズボンと下着を下ろし始めたフェオドールの体を見て、やはりかという思いに腹の底が冷えていく。
細い体から想像できる程度の大きさの昂ぶりは、吐き出した白濁で少し汚れていた。
けれどその亀頭を下から上に突き抜ける直線のピアスが、酷く不似合いだった。
「これは、いつ?」
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