不仲な兄弟?

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 それでも少ししょんぼりしているクシュナート王は、「それも話しを聞かせてくれ」と弱く笑った。 「あぁ、名乗りが遅れた。アルヌールだ。話しは細かくシウスからも聞いている。ラン・カレイユに行く前に、少しでも体を休めてくれ」 「お気遣い、感謝いたします」 「そう硬くなるな。お前達は俺の家臣じゃないんだしな。今夜、晩餐の用意をした。堅苦しくないものだ。部屋も奥院に用意している。不足があればジョルジュに申しつけてくれ」 「何から何まで、有り難うございます」 「……ランバート、お前は本当にジョシュアの子か? あいつなら『国賓に対して当然のことだ』とか言いそうだぞ?」 「無礼な父は後ほど俺の方からシメておきます」  頭が痛い。相手は一国の王だっての。戴冠前に会っていたのだとしても王太子だぞ。なんて口をきいてるんだあのバカ父。  気苦労の絶えない様子のランバートを軽く笑い飛ばしたアルヌールに、下がっていた文官がひっそりと時間を伝える。それに、彼はどことなく寂しげな顔をした。 「本当はこのまま色々話していたいんだが、まだ少し仕事が残っている。時間になったら呼ぶから、それまで部屋で過ごしてもらってもいいだろうか」 「そこまでお気遣い頂かなくても大丈夫です、陛下。晩餐を楽しみにしております」     
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