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出発の日(ボリス)
翌日、腕の中で目を覚ましたフェオドールは昨日の幼子どこいった? と言いたくなるほど変わらなかった。
うん、こっちはからかいがいがあるからよし。
「なーに照れてるの? そっちが熱烈に誘ったんでしょ?」
「それは! そう、だけど……でもお前のエロさは!」
「卑猥な事、沢山言ってたけれど。なんだっけ? 俺の子種汁?」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
両手で頭を抱えて真っ赤になって身もだえ、シーツみの虫になっている。背を向けるその項にキスをすると、やっぱり快楽には弱い。この狼狽えっぷりと恥じらいに反するような甘い「あぅん!」という声が返ってきた。
「ほら、こっち向いて。いじけなくてもいいでしょ? 俺は可愛いと思うけれど」
「かわい……私は、そんな……」
「今も可愛いよ、フェオドール。ほら、こっち向いて。おはようのキス、してあげる」
耳元に吹きかけるように言えばピクリとして、逡巡のあとこちらを向いた。真っ赤な顔で不器用に唇を突き出しギュッと目を瞑った不細工な顔。それに笑いながら、ボリスは優しくキスをした。
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