出発の日(ボリス)

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 こんな甘い朝は久しぶりだった。もう何年もこうしていない。甘い夜もご無沙汰過ぎる。爛れた夜はあれこれあるけれど。  これ、幸せっていうのかな。だとしたら、ちょっと癖になるかもしれない。  その後、ダダを捏ねまくり逃亡しようとしたフェオドールをシーツで縛り、説得をして城の医者を呼んだ。当然、乳首とあそこに開いた穴を診察してもらうためだった。  真っ赤になって拒むフェオドールの体を無理矢理ひん剥いて差し出せば、診察をした医者の爺ちゃんがオイオイ泣いていた。 「なんて、なんて無体な……」 「じいや……」 「お辛かったでしょうな。なんて惨い事をなさったのか」 「……うん」 「その穴、塞がる?」  しんみり泣きそうなフェオドールにかわって聞けば、医者の爺ちゃんは難しい顔をした。 「男性器に開けられたほうは、まだ固まりきっていないようですのである程度は。薬も使って治療する価値はあるかと思います。ですが、傷は残るでしょうな」 「……だよね」 「乳頭のほうは、残念ながら。ただ、とても綺麗に一発で開けられて、その後の手入れも綺麗になさっておいでなので心配には及びません」 「……あ、そう」     
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