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蠢く夜
その夜、晩餐はとても和やかに行われた。妊娠中だという王妃は同じ敷地内の小さめの屋敷にいるそうだが、五歳になるリシャール王子とは挨拶ができた。
アルヌールとは違いおっとりとした様子で、少し恥ずかしそうにする様子に皆が癒やされた。
アルヌールとジョルジュ、他にも数人帝国との関係が深い人物と楽しげに会話をしながら食事をしたが、そこにフェオドールの姿はない。一応用意されていた席は座るもののないままだった。
その夜、一同にあてがわれた談話室には何故かジョルジュとアルヌールの姿がある。もの凄く格好も砕けたアルヌールに最初こそ困惑した一同だが、何故か馴染みが早くあっという間に全員がいつもの感じを取りもどした。
「それにしても、ファウストばかりじゃなくクラウルとシウスにも恋人とはな。しかもシウスは結婚したとか! だーれが、その相手かな?」
緑色の瞳を鋭くさせたアルヌールが、ニヤリと一同を見る。その中でラウルは顔を真っ赤にさせてモジモジした。当然、バレるわけだ。
「ほぉ、可愛いのを選んだなあの男! なんだ、少年趣味だったか変態め」
「あの、そんな! シウスは別に少年趣味じゃないと……思います、けど……」
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