蠢く夜

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 言っていて確実に自信がなくなったのだろう。見る間に萎れるラウルを笑って、アルヌールはご機嫌に酒を飲んでいる。 「恥ずかしがる姿もまた可愛いな。なるほど、初心なのが好きだったかムッツリめ」 「そんな事ないですよぉ」 「あー、ラウル殿、これがこの方の酔い癖みたいなもんだから真っ当に相手なさるな。どうにも絡み酒でな」 「煩いぞじぃ。いいじゃないか、次にあいつに会うときが楽しみになったんだから」  なるほど、騎士団にも数十人単位でいる感じの人だ。全員が覚悟する事になった。 「まぁ、シウスは以前から恋人がいることを臭わせていたからいいとして……問題はファウストとクラウルだ! 特にクラウル! あの堅物無愛想が恋愛とか、想像つかん!」 「……」  ゼロスが無表情で黙り込む。賢いようで、実は如実に対応が変わるのは挙手と同じだ。そしてアルヌールはやはり王だ。こうした細かな反応をよく見ている。 「ほぉ。あいつは自分とさして変わらんのを選んだな」 「!」 「なぁ、あの男はお前とどんな日を過ごすんだ? 若い頃からよく知っているが、無愛想だろ。正直一生独身だと賭けていたんだが」 「……無愛想ではありません。むしろ少し……ウザい」     
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