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「怒る前にさ、自分の態度見つめ直してみたら? いい年して反抗期って、かっこ悪いにも程があるよ。ラウル先輩やランバートも年変わらないのに、随分違って見えるよね」
「ちょっ、ボリス!」
「アンタの態度って、そのまま『甘やかされて育ちました』って感じがするよ。何を勘違いしてるか知らないけれど、偉いのはアンタじゃなくて血筋だけじゃないの? 兄王様は随分と強かで立派な王様なのに、残念な弟だな」
「貴様!」
顔を真っ赤にしたフェオドールが怒鳴り散らし、ボリスの胸ぐらを掴む。だが身長的にボリスが高い。ちっとも怖くはない。
「殴る? 国際問題かもね」
「!」
胸ぐらを掴む手がブルブル震えている。背後ではチェスターがオロオロしている。こいつもこういう事に慣れない奴だ。
その時、一階の方で大きな音がした。咄嗟に窓辺に駆け寄った三人は、闇に紛れて逃げる人影を見た。腕を庇いながら、何処かへと向かって行く。
だがその後に出てきた影が、雪の中にドサリと倒れた。月明かりの中に浮かぶその姿に、三人全員が目を見張った。
「兄上!」
「チェスター、ランバート達に知らせて!」
「分かった!」
ボリスはそのまま二階から一階へと階段を駆け下りていく。それを追うように足音がついてくる。多分、フェオドールだろう。
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