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「正直に申しまして、多少自由すぎるように思いますが。そもそも、奥方がいるのに男遊びなんていいのですか?」
「ん? 最初に宣言したからな」
「……は?」
「結婚する前に、性癖おっぴろげに、そして赤裸々に一晩語った。そうしたら『あらあら、大変ですわ。私がお相手できなくなったら、誰がお慰めすればよろしいのでしょう?』と。あの瞬間、この女しかいないと思った」
「多少自重しろ、下半身」
「ほぉ、お前の素が見えた気がする」
ごく当たり前の顔で言いきった目の前の男を、正直に「クズ」とは思うのだが……憎めない部分も多々あるのが困る。そこを含めて魅力だろう。
「まぁ、何だかんだで愛している。実際、女は妻だけだし、愛を囁くのも妻だけだ。子を宿さない間は求めるのは彼女だけだしな」
「一応、愛していらっしゃるのですね」
「俺は下半身クズだが、不誠実じゃない。他の女に子種を注ぐ事もしないし、男と遊ぶ時も愛は囁かない。正々堂々正面切って『一晩遊ばせてください』と俺自身が頼む」
「充分クズですが、いっそ清々しいですね」
「うん、俺も自覚がある。それでもいいという奴しか俺は相手にしていない」
本当に、良くも悪くも正直で気持ちがいいな。周囲にはいない感じだ。
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