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「陛下も性欲旺盛ですが、そもそもが「遊ばせて」と男の方を誘いますし、引き際も綺麗なのでトラブルはないのですよ。むしろ誘われた男達がある意味信者のように仕事に励むので、より結束が強いというか」
「……ろくでもなくない?」
「一度相手をした方に聞いたのですが、とても優しいのだと言っていましたわ。乱暴にされる事なんて一度もないし、そこであれこれ悩みも聞いてくれて心が軽くなったとか」
「どこ使って国政してるんだろう、あの人……」
ハリーが呆れ、レイバンは笑った。まぁ、王ともなれば雲上の人。そんな人が心を砕き、優しく触れて心を解す。そこで男惚れするというのは、分からないではないが。
「勿論そんな事ばかりじゃありませんよ。飄々と外交を行いますし、信頼には信頼で返しますわ。城の者もあの方を嫌う方なんて」
「なのに昨夜、あんな事があって私達も不安で……」
メイド達が不安な顔をする。本当に予想していない事だったのだろう。困惑が広がっていく。
「俺達も驚いたよ。まさかお邪魔した日にこんな事になるなんてさ」
「なんか、俺達がやったなんて言われてもいるのが不満。俺達そんな事しないのにね」
わざとらしい困惑顔だが、これで充分だっただろう。メイド達は堰を切ったように不満を言い始めた。
「私達、昨日談話室に料理やお酒を運んでいましたから言えますわ。皆さんはあそこで陛下と楽しくご歓談なさってましたもの」
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