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少し驚きつつも親しげな表情には懐かしさが含まれている。それだけで、この人物に敵意がないことが分かって安心した。
「カーライル様ばかりじゃない。クラウルの坊主も知ってるぞ」
「クラウル様を?」
これにはゼロスが反応する。当然と言えば当然のことだろうが。
「あいつがカーライル様の護衛でこの国についてきたからな。冷静ぶってるくせにすーぐ熱くなる、可愛いクソガキだったわい」
ほんの少し、ゼロスは恥ずかしそうに顔を赤くした。
「シウスや、ファウスト、オスカルにエリオットも元気か?」
「団長達もご存じで?」
「まぁ、あいつらとも多少話した事がな。わしは陛下の名代で時々帝国にも行くしな。噂じゃ、団長達を骨抜きにしたのがいると聞いたが」
「「…………」」
ランバートとゼロスは当然無言だ。そしてラウルはほんの少し居心地悪そうにモジモジしている。
だが、気付いているのかいないのか、ジョルジュはなにも言わずにお茶を楽しんでいた。
国境の町ヒレンは整理された区画割りで、石造りの綺麗な建物が並ぶ中規模な町であった。道もある程度石畳で整備されている。
「ここは王都から一番近い国境だ。治安も悪くはない。だが、今から移動すると王都につくのが午前様だ。今日は騎士団の砦を用意してるから、そこで一泊してくれ」
「色々と、有り難うございます」
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