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確かにアルヌールの傷は左肩。背後からの一撃が、柄に近い部分まで刺さっていた。本人も油断していたと言っている。これがもしチェルルやラウル、ランバートなら外していなかっただろう。
「それに、アルヌールさんは『一太刀入れた』って言ってたけど、落ちていた血痕の量からすると深傷じゃないと思う。もしもプロならその位の傷は気にしないで、仕留めてると思う」
「更に言えば、プロなら武器から手を離したりはしないよ」
クリフの言葉を引き継ぐように、チェルルがニヤリと笑う。その姿に全員が注目した。
「ただいま」
「どこ行ってたの、チェルル? 姿見えなかったけど」
「ちょっと城の外にさ」
「城の外!!」
これにはランバート以外が驚いた。何せ今、全員が城の外に出ることができないのだから。
「どうやったのさ!」
「変装して大人数に紛れて出て、城の外を探ってた。ニコラっていう奴の足取りね。見た瞬間ド素人だって分かってたし、外部に逃げてるならそもそも城の外の人間かな~、って」
ランバートとラウルは苦笑だが、他は青い顔をする。改めてチェルルの変装、潜伏能力の高さを思い知った感じがしたのだろう。
「何か分かったか?」
「ニコラの部下に似た男が、流れの奴等に声をかけてたらしい。そもそも流れなんて避けられるから名前や顔をちゃんと知ってる奴は少ないけどさ。でも、そこそこ身なりのいい奴が話しかけてるのを見たって」
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