囚われた王子

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「高額報酬をちらつかせた。というところじゃない?」 「多分ね」  ハリーの言葉にレイバンも頷く。だが、流れ者にとって明日の宿や食べる事は死活問題だ。大金とみれば飛びつくだろう。 「足取り追えそうか?」 「多分始末されてるよ。失敗してるしね。でも、死体があれば多少証拠は残ってるんじゃない? 例えば、王様のつけた傷とか」  ニヤリと笑うチェルルは意地悪に見える。が、その可能性が高い事は全員が無言のまま覚っていた。 「ラウルは何か分かったか?」 「うん。あちこち忍び込んだりして探ったよ」  サラリと言ったラウルに、これもまた騎兵府は苦笑だ。小さく年下でも、流石暗府なのである。 「ニコラって人の事を探ってきた。生まれは良家だけど、そこの五男。当時実権を持ってた父親がごり押しでフェオドール殿下の側近にねじ込んだみたい。でも当人は人の下につくような性格じゃないよ。気位が高くて狡猾、目的の為なら労を惜しまない感じ」 「なんか、ルースを思い出すな……」  ランバートは嫌な事を思いだして苦い顔になる。ルースもまた、そのような人物だった。  ラウルもつられて苦笑するが、幾分気は緩めだ。     
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