囚われた王子

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「大丈夫、あの人ほどじゃないよ。ただ、アルヌール陛下とは合わなかったみたい。愚痴を言う事もないけれど、雰囲気がね。今僕達が犯人だって言ってる連中の大半は、ニコラに近い人物で旧家臣組に近い人達だよ。旧体制派もアルヌール陛下とは不仲で、かつ帝国との距離を置きたいみたい」 「わかった。どうやら、的が絞れたな」  ニコラがおそらく黒幕だ。フェオドールはそれに知らない間に巻き込まれている。帝国を追いだし、同盟を見直したいのは旧家臣達。ニコラと手を組んでいる可能性もある。  だがそうなると、やはり証拠だ。襲った本人を捕まえて証言を取れれば一番だが、そもそも生きているのかも疑問だ。  もしくは、現行犯だ。何かしらのアクションを更に起こしてくれればそれも可能なのだが……誘い込むしかないか。  そんな事を考えていると、不意にドアがノックされてジョルジュが困った顔で入ってくる。一日で若干老けている気がした。 「すまんが、ランバートとボリス、一緒に来てくれないか?」  気苦労の見える声に指名された二人は顔を見合わせる。ランバートは分かる、この隊の責任者だ。だがボリスというのが、やや納得がいかない。 「実は今、陛下の元に厄介なのが押しかけていてな。陛下が爆発寸前なんだ」 「それで、なんで俺?」 「お前さんにも話しが聞きたいらしいんだ」  そう言われてしまうと拒む事もできない。ボリスも立ち上がり、三人連れだってアルヌールの寝室へと向かっていった。     
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