囚われた王子

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 頭が痛い状況だ。よほど帝国が気にくわないらしい老人達の論理は色々と破綻している。これの相手となれば健康な状態でも多少の頭痛を感じるだろう。怪我人のアルヌールも血圧が上がるだろう。  幸いランバートはこの手の人間に容赦するつもりはない。ほぼ無表情で、三人を見回した。 「根拠は?」 「は?」 「帝国が同盟国であるクシュナートを侵攻したいという根拠はどこにあるのですか?」 「帝国はこれまでも散々に侵略を」 「前王陛下の時代ではあるまいし。何よりもアルヌール陛下は我等が陛下とは親友。そのような人を裏切る人物ではありません。何よりも現在、我が国は難しい状況に置かれております。その状態で同盟国との関係を悪化させるメリットはどこにあるのですか?」 「そちらが動く前にこの国を……」 「そんな事に金も人も割けません。二面戦争がいかに愚かかは、政治に一時的でも携わった方なら分かるはず。現状、良好な同盟を自ら崩してまで侵略しなければならない理由は、我等が国にはないのです」  単純に帝国との関係を切りたい。そういう思惑しかないだろう老人達は口をつぐみ始める。ランバートは更に畳みかけるように声を発した。     
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