囚われた王子

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「あぁ、うん……」 「そればかりか、物音がして窓を覗き込んだときも一緒だったし、そこから何者かが逃げて行くのも一緒に目撃している。倒れたアルヌール陛下の元に駆けつけたのも一緒だけれど?」 「ほぉ……」  爬虫類のような視線だった。その目に見られたフェオドールは明らかに怯えた目をしている。どちらが主人なのか、まったく分からない顔だ。 「うーん」  アルヌールが何かを考えている。そして一つポンと膝を打った。 「此度の事、どう見ても一番に利があるのはフェオドール、お前のようだ」  突然の言葉にフェオドールの瞳が強く揺れた。驚きと困惑、恐怖が混ざり合っている。体も頼りなく震えている。 「俺が死んで誰が一番に得をするのかを考えれば、お前が一番だろう。俺が死ねば、お前が国王だからな」 「なにを……兄上!!」 「その者を拘束し、部屋に幽閉しておけ。事が解決し、完全に疑いが晴れるまでは外に出してはならん。勿論、側仕えも許さぬ!」 「兄上!!」  手を上げると控えていた兵が二人出てきて、あっという間にフェオドールの手をつかまえてしまう。これには側にいた男も大いに驚いたが、当然のようについて行こうとする。     
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