囚われた王子

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「危ない事です」 「分かっているさ。だがこのままでは埒が明かん。ニコラは駒としてのフェオドールを失えないが、このままでは失脚もありえる。何かしら手を打ち、そして今度こそは騎士団にその罪をなすりつける事だろう」 「つまり、面倒ごとをこっちに丸投げしたんだ」  ボリスがうんざりとして言うが、それでも好戦的に瞳を輝かせる。やはりボリスは実働向きだ。 「それで、フェオドール殿下はあのまま放置を?」 「ん? うーん、それなんだがな。正直今、もの凄く臍を曲げているだろうから言う事きかないだろう。その扱いが困ってな」 「……宜しければ俺が、少しお相手いたしましょうか」 「ん?」 「ボリス?」  突然の申し出に、ランバートまでもが少し驚く。鋭い瞳をしたままだが、雰囲気は軽くなった。というよりも、少し楽しげに見える。 「とりあえず、食事運ぶくらいしかできませんけれど」 「あぁ、いや。申し出てくれるのは嬉しいが……面倒だぞ?」 「構いませんよ。こちらの給仕の服を貸していただければ、それとなく」 「それは構わんが…………いいだろう」  アルヌールも多少困惑するが、それでも了承した。この時のボリスはどこか、とても楽しげだった。
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