国境の町ヒレン

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「なーに、砦の奴等も祭りが好きな奴等ばかりだ。飯が軍飯で、風呂が大浴場で、少々周囲が騒がしいって事を除けば悪くないぜ」 「慣れた環境です」  まるで宿舎のようで慣れている。全員が苦笑しながら、石造りの町を堪能しながら移動していた。  ヒレンの砦はお祭りのような騒がしさだ。  他国の騎士が来る事がまず稀なようで、みなが質問攻めのような状態になる。そのうち当然のように「一緒に訓練を」と言われ、現在は修練場に全員がいる。 「そこのガタイのいいのが強そうだ。えっと……ドゥーガルドだっけか? お前強いか?」  身幅の広いゴツい剣を持ったジョルジュが楽しそうに戦う姿勢を見せている。そこには歴戦の騎士という風格と威厳があって、戦う前から強い事が分かる程だ。  その空気に負けて、ドゥーガルドがふるふると首を横に振る。でかくて体力と馬力、破壊力はあるが確かに剣の精度としてはそれほどでもない。 「なんだ、お前ビビってるのか? んじゃ、こん中で一番強いのどいつだ?」  剣を肩に担ぎ、しげしげと眺めるジョルジュが見回す。仲間の視線が一斉に、ランバートに集まるのが分かった。 「お前さんか?」 「まぁ……多分?」 「そっか。んじゃ、まずは手合わせ願おう。こんなジジイだが、まだまだ現役のつもりでな」 「分かりました」     
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