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まぁ、確かに行軍はしていたが本気で剣をにぎるのは久しぶりだ。体を解すのにもいいかもしれない。
ランバートは手に自分用の、十字架のような長剣を握って前に出た。
「何だお前さんは随分華奢な剣を使うんだな。特注……ってことは、師団長以上か」
「騎兵府補佐を拝命しています」
「ほぉ、ファウストが側を許した実力か。そりゃ楽しみだ」
ちょっと恋人評価が入っていたり、事務処理能力が高かったりもあるが……
まぁ、その辺は言わない事にしてランバートは剣の柄に手をかけて片足を一歩下げた。それを見たジョルジュは鋭い瞳を僅かに見開き、ニヤリと笑う。
「それでは、始め!」
その声と共に前に出たのはジョルジュだ。剣の重さを存分に乗せた一撃。ランバートはそれを後ろに避けてすぐに足元を固め、剣を一閃させる。
鋭く速い剣が青白い線のようにジョルジュに迫る。だが歴戦の騎士はその攻撃を剣の柄で防ぐと共に、刀身を切り上げた。
ランバートもその動きには反応した。鞘で刀身を滑らせつつ距離を取る。
だがそればかりがジョルジュの戦い方ではなかった。不意に死角から見事なフックが入り、頬を強かに殴り飛ばされた。
「っ!」
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