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ファウストに似ている荒っぽい戦い方だが、動きはそこまで速くない。だが、経験値と重量が違う。数歩後退ったランバートを狙って剣が迫る。これをまともに食らえばただじゃすまない。
剣でそれを払い、できた隙に強烈な蹴りを見舞った。見事に老将の顎にヒットした攻撃で、相手も数歩フラフラ下がった。
「綺麗な顔して俗な戦い方をするもんだ。そりゃ、ファウスト仕込みだな?」
「元からです。悪化しましたが」
「まぁ、命かかってるもんに綺麗も汚いもねーわな」
蹴られた部分をグイッと拳で拭ったジョルジュがニヤリと笑い改めて剣を構える。それに合わせて、ランバートもまた剣を構えた。
「いった!」
「こんな怪我するほうが悪い!」
青くなった頬に薬を塗り、口の中を容赦なく見るクリフが目を釣り上げている。その様子はまさにエリオットのそれで、似てきたとは思ったが本人かと身がすくむ。
隣では同じく砦の人に治療されているジョルジュがいる。あっちもランバートと同じくらい傷だらけだ。
結局決着がつかないまま、制限時間の二十分が過ぎて止められた。その頃には双方純粋な剣の戦いではなく、剣と体術取り混ぜた乱戦状態になっていた。当然双方共に痣だらけで、口の中も切っていた。薄くなら切り傷もある。
「これを見たらファウスト様、決闘挑むんじゃない?」
「絶対止める」
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