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囚われた王子
アルヌール襲撃の翌日のお茶の時間。一同は談話室に集まっていた。
「やっぱり、フェオドール殿下はシロだね」
結論を口にしたレイバンにランバートが頷く。彼らからの話を聞いても、やはりフェオドールがここまでの事をするとは思えなかった。
「まっ、当然かな。あの王子様にこんな悪意はないでしょ。ってか、実際あの王子様、アルヌール様大好きでしょ」
気の無い物言いだが、皆が少し意外に思った。ボリスとフェオドールの間に何があったのか、全員がチェスターから聞いている。
ボリスという人物は相手に敵意を持つと徹底的だ。当然フェオドールは敵とみなされたのだと思ったのだ。だが、今は多少庇う物言いをしている。
「ボリス、フェオドール王子の事嫌いじゃないのか?」
「え? うーん、どうだろう? あまりに隠せてなくてバカバカしくて可愛いかも。まぁ、クソ生意気なのは時々カチンとくるかな」
好意……なのだろうか? 難しくてちょっと理解が追いつかない一同だった。
「犯人のほうは、結局分からないままなんだな」
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