不仲な兄弟?

1/8
373人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ

不仲な兄弟?

 翌朝、お世話になった砦の皆と朝食を取った後に、一行はそれぞれ馬を借りて王都を目指した。 「この分ならお茶の時間くらいには到着するな」  前頭を走るジョルジュの言葉に、続いた全員がほっとする。人の多い街道を並足で進み、人がいなければ駆け足で走り抜ける。全員が馬術を得意とする騎士なのだから、急な反応でも余裕で対応できた。 「いやぁ、流石帝国の騎士団! なにも言わずともついてくるわい」  とても楽しそうなジョルジュに、皆が苦笑したのだった。  王都の一歩手前で用意されていた馬車に乗り換え、辿り着いた王城はおとぎ話の世界のようだった。  雪の降る世界に優美なシルエットを浮かび上がらせる尖塔、鋭角の屋根。庭木は薄らと雪化粧がされている。全体的に、縦に長い印象のある城だ。  帝国の城はどちらかといえば正面は横に長い印象があり、高さはそれほどではないのだ。  前庭につけた馬車を降りるとすぐに案内の人物が出てきて、謁見までの間を控えの間で過ごす。多少緊張した面持ちを皆がしているが、中でもチェルルは落ち着かない様子だ。     
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!