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プロローグ
いつもと変わらぬ朝。
「……んっ……んんっ。…………またしても下界にて醒めてしまったのか」
今年に入って何度目かの朝の目覚めの一言シリーズ第二弾を呟き、ベッドから這いずり出る。
それから身支度を整える為、洗面所へと向かう。あらかたの行程を終え、鏡に向き合うと、まるで鏡の中の自分へ語りかけるように話し始める。
「やぁ、我が魂の寄生木たる人類よ。我こそが万物の創造主、そして貴様の主……伊邪那岐統夜(いざなぎとうや)だ!」
伊邪那岐統夜こと――柊真染(ひいらぎしんじ)。高校二年生。
自らを創造の神――伊邪那岐統夜と名乗る中二病末期患者である。
まことに痛い事この上極まりない発言を終えると、朝食を取り、改造制服(中二病的)に着替え、最後にペンダントトップが鞠のデザインをしたネックレスを付ける。
「さあ行こうか。一千転生前の俺が創り上げたこの世界へと」
嗚呼……何とも痛々しい『いってきます』を言って家を出る真染。
だがそれが、伊邪那岐統夜こと、柊真染の最後の平穏な日常のひとコマとなったのだった。
それはあまりにも唐突過ぎた。
ただ何気なく空を見上げただけだった。
すると不思議な事に、真染に向かって空から――女の子が舞い降りてきたのだ。
それも、絶対領域を創り出すニーソ、そして何処と無く見覚えのあるミニミニスカートの再奥からは純白の下着を惜しげも無く御降臨成させて。
「御パンティー!!」とか、「ありがとうございますっ!!」とか、言いたい事は沢山あったが、真染がやっとの思いで絞り出せた言葉は――
「親方ぁ……空から女の子が降ってきやしたぜ」
――ありふれた名言であった。
そして、真染の前に降り立った美少女はヒロインよろしくとばかりに自分の要求を突きつける。
「アナタ、柊真染君ね。お願い、私と一緒に来て! 世界を救って欲しいの」
こうして伊邪那岐統夜こと、柊真染の日常は崩壊していった。
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