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ルウリが泊まることになった部屋は客室に比べると小部屋だが、小さなテーブルにクローゼットも備えてあり、窓からは心地よい風が入る部屋だった。
(そういえば、この棟に入るのは初めてだなァ)
招かれたときはいつも来客用の部屋がある棟に案内されていたルウリだった。
この棟の一階には専用の炊事場と食堂と浴室まであることをルウリは初めて知った。
別館とも呼べるような棟の二階には現在使われてない部屋が二室と、ルウリが泊まる部屋の隣りにラシルスの書斎、そして一番奥の一室にラシルスの寝室があるのだとセバスが教えてくれた。
会えなくてもここにいればラシルスとの距離もなんだか近く感じられる。
ルウリは嬉しくなりながら、さっそく花香水の改良をはじめた。
*****
ルウリがお試しで作った香水に、街で購入した2種類の花香水を加え、試行錯誤を繰り返しながら、ようやく納得のいくものが小瓶に1つ出来上がった頃、窓の外はもう夕暮れになっていた。
───お腹空いたなぁ。
そろそろ夕飯の時間になる。
街の露店で買ったお菓子は、おやつの時間に食べてしまった。
(セバスさん、きっと忙しいよね。わたし、何かお手伝いしなくてもいいのかな………)
一階に調理場もあるので、自分の夕飯くらい自分で支度しようかとルウリは思った。
おやつの時間、調理場でお湯を沸かしたときに見た限りでは、調理道具と簡単なものなら作れそうな食材が用意されていた。
棚にはイチゴとオレンジのジャムやチーズもあった。
(野菜のスープやパンケーキくらいなら作れそうかも)
ルウリは部屋を出て調理場に向かった。
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