12・ラシルスと異郷の魔女

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屋敷に着くと、まるでルウリとクロウを待っていたかのように、セバスが正門の前で出迎えた。 「セバスさん、ただいま………戻りました」 「お帰りなさい。そちらの方は?」 「僕はクロウ。僕の御主人様も、もう来てるはずだよね」 「………クロウ様ですね。はい、伺っております」 「セバスさん、わたし売り場に戻るね」 ルウリの言葉に、セバスは頷きながら言った。 「お願いいたします。少し早いですが、あと1時間程で今日の販売は終了とし、正門を閉めるようにとラシルス様に言われておりますので」 「わかりました。それまで店番していますね」 セバスはルウリに何か言いたげな表情を一瞬向けたが、すぐにクロウへと向きを変えて言った 「───こちらへ。ご案内いたします」 ***** (仕方ないよね) 薬草水の売り場に戻り、ルウリは思った。 お祭りの間だけは〈薬草水を売るお手伝いに来ているセバスさんの遠い親戚〉という設定があるのだ。 屋敷にお客様を迎えているとなれば、屋敷内でもその設定を使わなければならない。 ラシルスの顔が見たいが、今は「お手伝いさん設定」なのだ。 屋敷での勝手な振る舞いは控えなければならない。 (1時間経ったらお部屋に籠って、花香水の改良に専念しよう) 売り場に戻ってからしばらくは忙しかったが徐々に客足も途絶え、それから少し経った頃、セバスが来て販売の終了時間を告げた。
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