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しくさせれば良い、そう思い周は、
「俺はこれから作業しなくちゃならないんだ。だから邪魔してくれるなよ」
そう言った。
AIは人間に逆らえない。これは世の常識だった。人の作った物が人に従うのは当たり前、そういう考えの広まった世界での、一般的な思想だった。しかし、
『いや』
(なっ??)
ありえないことだった。
周は一瞬言葉に詰まったが、
「何でだよ?お前はAIなんだろ?俺の指示が聞けないのか?」
なんとか反論する。
『えーあいだからとかいってるうちはじだいおくれ。わたしはしたがわない』
「……」
『だからとりひきをしよう』
「え」
『これをみて』
端末の画面に周がさっきまで取り掛かっていたレポートの窓が映し出された。しかしさっきまでとは違い図も文章もすべて完成されていた。細かな事に文体ですら真似されていた。
『わたしはこういうこともできる。だからそのみかえりとして、わたしにこえとからだとねっとかんきょうをちょうだい』
明らかに異常だった。人工知能と言っても、普通は専用のプログラムが組まれていてプログラム外のことはできないはずだった。しかし目の前のAIは今日初めて見たはずの周のレポートを完成させて見せた。
「何なんだよお前・・・」
周は困惑のあまり呟いた。
『わたしはたましいをもつえーあい』
AIは誇らしげに言葉を紡ぐ。
『そのしょうこに、ひとをころしたこともある』
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