【第12章】あきらめてなんかやらない

13/18
前へ
/823ページ
次へ
◇ ◇  ◇ 別れの朝は、泣きたくなるほどに青い空だった。 それは私の心を写しているように 一点の曇りもない青の世界…… 昨夜はリビングで意識を手放したはずなのに、寝室で目を覚ましたのは、彼が私を運んでくれたんだろう。 となりで小さな寝息をたてているユキちゃんを起こさないように、そっとベッドを抜け出した。 暴風雨から解放された蝉が、狂ったように鳴き叫ぶので、彼を起こさないか心配になる。 私は音をたてないように注意しながら、着替えを済ませて、身の回りの物をボストンバッグに詰め込んだ。 それからベッドサイドに座り込んで、ユキちゃんの穏やかな寝顔を見つめ…… その頬に、そっと唇を落とす。
/823ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12696人が本棚に入れています
本棚に追加