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「……あの、どちらさまでしょうか?」
本当は目の前の美貌にドキドキしている。
だけど必死に平静を装って、口を開いた。
すると彼は切なげに眉をひそめて、ため息をついた。
「やっぱり、分かりませんか」
その打ちのめされたような表情に困惑していると、胡散臭い笑顔が向けられる。
「あなたの主治医、葉山です」
主治医……って事は、お医者さん?
顔ばかりに気を取られていたけど、白衣の胸ポケットには『葉山』と書かれたネームプレートが挟まれている。
なんだか分からないけれど、主治医と聞いたからにはご挨拶をーー。
と体を起こしかけ。
ここで私は、やっと自分の置かれている状態を把握した。
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