【第1章 】目覚めると悪夢

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「……あの、どちらさまでしょうか?」 本当は目の前の美貌にドキドキしている。 だけど必死に平静を装って、口を開いた。 すると彼は切なげに眉をひそめて、ため息をついた。 「やっぱり、分かりませんか」 その打ちのめされたような表情に困惑していると、胡散臭い笑顔が向けられる。 「あなたの主治医、葉山(はやま)です」 主治医……って事は、お医者さん? 顔ばかりに気を取られていたけど、白衣の胸ポケットには『葉山』と書かれたネームプレートが挟まれている。 なんだか分からないけれど、主治医と聞いたからにはご挨拶をーー。 と体を起こしかけ。 ここで私は、やっと自分の置かれている状態を把握した。
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