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それは長いキスだった。
苦しくなって、大きく咳き込む。
「っく!! ケホッ!!」
心臓がとんでもない速さで鼓動を打っているのは、息を止めていたからなのか。
それとも、突然のキスのせいなのか……。
「そんなに怯えないで下さい」
唇を離した彼は、悲しい顔をして手を伸ばすと、私の髪を優しく撫でる。
いやいやいやいや、何を言っているんだ。
患者を縛り上げて、無理矢理キスしておきながら、怯えるなだと?
さらに身を固くした私に、彼は綺麗な顔を寄せたかと思うと、カプリと耳を口に含む。
瞬間ーー。
ゾクリと背中に電気が走ったような感覚に貫かれ、体が小さく跳ね上がった。
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