詰襟の学生服

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きっと、後にも先にも君だけだったと思う。 詰襟の学生服に包まれた君が愛しかった。 出会いはなんてことなくて、たまたまクラスが同じだっただけで。 ただのクラスメイトになるはずだった。 君からしてみればそうだったのかもしれないけれど。 少しずつ君を知っていくうちに、瞳の色から手先まで、話し方から身のこなしまで、気になるようになっていた。 6年間は、君を知り、そして想うには、あまりにも長すぎたんだ。 自分の気持ちが、「好き」の意味が分からなかった。 ひたすらに君を目で追っていた。 そして、友人として傍にいた。 詰襟の学生服から解放された今になってわかる。 あれは恋だったんだ。 今はもう、私服の君にはときめかないと思う。 きっと、他の誰かと同じようにありふれた交際をするのだと思う。 さようなら、僕の青春。あれが、たった一つの真っ直ぐな青い春だったのかもしれない。
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