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1日目
トマ……ト……?
汐里はベッドの上で膝まずいて、膝小僧の先にあるプチトマトを眺めている。
窓の外からは小鳥のさえずりが聞こえ、カーテンの隙間から柔らかい朝陽が漏れている。そんなごく普通の朝、目を覚ますと目の前に大きな赤いものが見えた。飛び起きると、枕元にぽとりとプチトマトが置かれていたのだ。
昨晩は飲んでいない。枕元にトマトを置いた記憶は頭をひねっても、やはり無い。
起きて目の前に得体の知れないものが置かれていると、ぎゃああと叫んで怖がっても良いものだろう。だが、それがひとつのプチトマトとなると、叫ぶことはできなかった。白いシーツにぽつんと置かれたプチトマトは絶妙に愛らしいのだ。
寝ぼけているんだろう。そう思ってしばらく正座してプチトマトを見つめたが、もうとっくに眠気もない。どうやら現実だ。
……誰が?
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