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3日目 暗雲
彰「おい!彰!大丈夫か?」
ふと声がした。
視点を上げるとそこには幼馴染の翔太が立っていた。
そして僕は保健室で眠っていたらしい。
「なんで僕はここに?」
「お前覚えてないのかよ。まぁ無理もないな。あんなことがあって平然としてられるわけがない」
その言葉を聞き彰は全てを思い出した。
時間は四時間前にさかのぼる。
「おい。彰起きなさい」
いつもの母親の声で目が覚めた。
いや、違う。こんなに母親は声が低くない。
目を開けるとそこには親父の姿があった。
「あれ?仕事は?もう七時だよ?」
彰はいつもと違う光景に戸惑っていた。
いつもは朝にはもう家にいない親父がいて、兄貴は大学に行かずに自分の部屋に引きこもっているみたいだった。
「もう朝ご飯はできているから食べて早く学校に行きなさい」
親父は暗い表情で彰に伝えた。
何が起きたのかわからないままリビングに行くと母親の姿はない。
あるのは机の上にトーストが一枚とイチゴのジャムだけ。
彰は状況が呑み込めないまま朝ご飯を食べて学校に行こうとすると、兄貴が部屋から出てきた。
その顔つきは瞼が腫れ上がり今まで泣いていたかのようだった。
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