O博士の呼吸法

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 O博士は、【呼吸法】を睡眠を利用することによって習得しようと考えた。  そんな博士に対し、周りは、 「あの博士、寝てばかりいるみたいだな」 「どうせ不貞寝だろうよ」 「ついに研究はやめたみたいだな」  と指を指して笑ったが、博士は「今に見てろよ」と鼻を鳴らし、睡眠実験に入った。  機械や装置は使用しない。  機械に頼ると壊れた時に困る上に、ヒトの呼吸回数をいかに減らすかに重点を置かなければならない。  言わばこれは【呼吸訓練】なのである。  その甲斐あってか、最初は寝ているうちだけ減らせた呼吸回数が、起きている通常時でもだんだんと減らせるようになってきた。  その成果たるや、冬眠界の本家本元、カエルやヘビをも遥かに凌ぐほどだった。  O博士はその呼吸法により、苦もなく呼吸回数を激減させることに成功したのである。  ……にもかかわらず、世間はその成果を認めてはくれない。  O博士は新たな【呼吸法】を世間の人々に広めようとしたが、やはり誰も話に耳を傾けなかった。  結局、その呼吸法を実践したのは、O博士本人だだ一人だけだったのである。 「ならばこの呼吸法で、僕は誰よりも長く生きてやるぞ!」  O博士は意気込んだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!