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O博士は、【呼吸法】を睡眠を利用することによって習得しようと考えた。
そんな博士に対し、周りは、
「あの博士、寝てばかりいるみたいだな」
「どうせ不貞寝だろうよ」
「ついに研究はやめたみたいだな」
と指を指して笑ったが、博士は「今に見てろよ」と鼻を鳴らし、睡眠実験に入った。
機械や装置は使用しない。
機械に頼ると壊れた時に困る上に、ヒトの呼吸回数をいかに減らすかに重点を置かなければならない。
言わばこれは【呼吸訓練】なのである。
その甲斐あってか、最初は寝ているうちだけ減らせた呼吸回数が、起きている通常時でもだんだんと減らせるようになってきた。
その成果たるや、冬眠界の本家本元、カエルやヘビをも遥かに凌ぐほどだった。
O博士はその呼吸法により、苦もなく呼吸回数を激減させることに成功したのである。
……にもかかわらず、世間はその成果を認めてはくれない。
O博士は新たな【呼吸法】を世間の人々に広めようとしたが、やはり誰も話に耳を傾けなかった。
結局、その呼吸法を実践したのは、O博士本人だだ一人だけだったのである。
「ならばこの呼吸法で、僕は誰よりも長く生きてやるぞ!」
O博士は意気込んだ。
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