にゃん三章 光の陰で蠢くもの

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 怒濤の依頼ラッシュだった《オータムフェス》期間が終わり、普段を取り戻した今日この頃。  思い返せば、ホント、《フェス》期間中は大変大忙しだった。  なにしろ、《フェス》が開催中の依頼のほぼすべてをこなしたのはアタシなのだから。  それは何故かというと、まずカレンちゃんをはじめとしたバイト組は《フェス》期間中とはいえ準備期間──《フェス》開催直前までの大詰めの一週間のみ──とは異なり平日は普段通りなので当たり前に学校で、次に店長の音恋さんはアドバイザーとして《フェス》の運営に携わっていて《フェス》期間中も当然ながら手が離せず、そして副店長の詩音さんは前述の通り店長が留守なので《お店》を離れる訳にはいかない為、結果的に唯一実働できるアタシが依頼をこなすことと相成ったのだった。  それにしても、《フェス》期間中の毎日フル稼働していた日々が夢幻だったと思えるほどに普段の平日は暇だ。  休日ならば当日にそれなりに依頼が舞い込むのだが、平日の場合は当日に依頼が舞い込む事ははっきり言って少ない。  なので、平日であり且つ前以ての依頼が入っていない今日は接客カウンターの中で日がな一日を過ごすことになるだろう。  せめて《ねこカフェ》の方を手伝わせてもらえれば手持ちぶさたにならないのだけど……、店長からは「きびちゃんは“街の何でも(にゃんてSHOP)”の専属店員なんだから、《ねこカフェ》の方は気にしなくて大丈夫」って言われてるし……。  ──あ~、暇~。
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