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図書館に篭もるようになると,毎日帰りが遅い私をお姉ちゃんが心配するようになった。それでも私の本好きを知り,毎日閉館まで図書館で本を読んでいることを知ると安心したのか,大学に行きたかったら出世払いでよいのでお金を貸してあげるから遠慮せずに進学するように言ってくれた。
ただ,私は本を読むのは好きだっただけで勉強が好きなわけではなく,理系科目はいつもギリギリ赤点を免れる程度しかできなかった。
それでも大学進学という選択肢を与えてくれ,お金も出すのではなく貸してくれると言うお姉ちゃんの気持ちが嬉しかった。それから学校の勉強も少しずつ図書館でするようになり,成績がどんどん上がっていった。
両親のことは自分でも不思議なくらい考えることがなく,それよりも両親を包丁で刺したオジさんがどうしてあんな事件を起こしたのかが疑問だった。私が知るオジさんは,喧嘩などするようなタイプではなく,どちらかといえば温厚で争いごとを嫌うタイプだった。
どちらかといえば,いつも一緒にいる竹村さんのほうが問題を起こすタイプで,オジさんをはじめ野村さんや飯塚さんは酔っぱらった竹村さんを止めるほうだった。
ちぐさに聞いてもとぼけるだけで,なにがあったのかを教えてくれなかった。そして徐々にオジさんのことも考えることがなくなり,すっかり元の自分に戻っていた。
毎日学校が終わってから図書館で本を読む生活に戻ると,ちぐさがつまらなそうにした。
なにかして欲しいことがないか,なにか望むことはないかと,しつこく聞いてきた。私は静かに本を読む場所と時間があれば,他はなにもいらないと伝えると,ちぐさは不貞腐れて私の前から姿を消した。
そうしていくうちに,ちぐさに会う回数も徐々に減っていった。
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