2.学校、へ。

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雪も溶けきり、桜が咲きかけた頃、私は「学校」へ入学した。 雪さんとは隣のクラスだが、行き帰りの車は一緒だった。 雪さんとはなんの会話もない沈黙の時間が続く日々が続いた。 でも、優しくしてくれる裕太さんがいるし、 「桜!今からみんなでご飯食べに行かない?」 「行く!」 優しいクラスメイト達もいるから寂しいとは思わなかった。 恵まれていた。 「桜はさ、あのお屋敷にいたくないなと思うことはないのか?」 向かいの席、クラスメイトの北条聡(ほうじょうさとる)が私に聞く。 「ない、かなぁ」 全くないと言えば嘘になるけど、あそこしか私の居場所はない。 「あんな大きい家、嫌になるわけないじゃない」 クラスメイトの女の子が笑いながら言う。 「そう、か……」 聡は少し表情を曇らせた。 「聡は……家が嫌なの?」 私は何も考えずに聞いてしまう。 私と聡は違う。聡は生まれつきお金があって、私はない。生まれてからずっとあそこにいたら窮屈かもしれないな。と聞いてから思った。 「うーん、ちょっと窮屈かもな」 そう言って聡は私に笑顔を見せた。
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