2.学校、へ。

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「いや……その、軽蔑はしないけど」 聡が私に言う。いや、この質問はこれが私だと認めているも同然ではないか?私は否定の言葉を口にしようとする。……けどなんて言えば?これは私じゃないよ?いやどう見たって私だ。しかも「軽蔑する?」なんて聞いたのだ。認めたも同然なのに今更こんなこと言えるわけがない。 「俺、別にバラしたりとかしないし、今まで通り桜とは仲良くしていたい。ただ、誰かがこれを俺以外の人にも渡してるかもしれないと思って。あと……もし良かったら話を聞かせてくれないかな。何かできることがあるかもしれないし……」 控えめに話す聡。何も、何も考えたくない。私が花魁だったことがバレるのなんか時間の問題だ。この生活が楽しすぎて、そんなことも考えられなかった。 「えっと、そうね、あの、ごめんなさい。何を話せばいいのかわからなくて」 私がそういうと 「じゃあ、質問に答えてくれたらいいから」 と、聡が質問をして私が答える。というのを何度か繰り返した。初めて乗った車で質問されたことと同じようなことを聞かれ、あの時は、不安でいっぱいで、ほんとは少しあの世界に戻りたいとさえも思っていたな。なんて思いながら質問に答えていく。 「じゃあ、裕太さんとも雪さんともほんとの兄妹じゃないってこと?」 「うん、そうなる」 「そうか……」 その後、何を話したのかも覚えていない。 気づけば家にいた。 「桜、今日の学校はどうだった?」 普段は私の学校生活に興味を示さない裕太さんが珍しく私に聞く。私、そんなにひどい表情をしていたのだろうか。 「実は、花魁だったことが知られてしまったの。ごめんなさい」 私がそういうと裕太さんは私を優しく抱きしめる。 「大丈夫だよ。桜には僕がついてるからね」 その優しい声に思わず涙がこぼれそうになる。折角楽しくなってきたのに、花魁だなんて知られたら……。 そんな不安とともに、なかなか寝付けない夜を過ごした。
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