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その次の日からだった。雪さんが私に声をかけてくれるようになった。
でもそれは、家の中だったり、車の中だったり、学校外での出来事だった。
「実は、私も身請けされたの」
ある日、雪さんはそっと私に教えてくれた。
自分は下級の遊女だったと。私より半年前にここに来たこと。私のことはよく人から聞かされていたこと。本当は私と仲良くしたかったことなど。
「話してくれてありがとう。雪さん、これからよろしくね」
「雪、と呼んでください」
「じゃあ、私のことも桜って呼んで」
私たちはこうして、少しづつ仲良くなっていった。
私が花魁だったことは聡以外は誰も知らなかったみたいで、私が花魁だという噂すらもされることはなく、聡と私が花魁だった話もしなくなっていった。
「ねえ、今度、服を買いに行かない?」
私が車の中でそういうと雪は表情をぱっと明るくする。
「行きたい!今度の休みに行きましょう!」
雪はそう言い私に行きたいお店はないのか。と聞いてきた。
私は全く分からなかったので
「雪の好きなお店を教えて」
と答えた。
雪は嬉しそうにいろんな店の話をしてくれた。
「裕太さんに外出許可をもらわなくちゃね」
雪が嬉しそうに話す。
「できれば私と雪の2人で出かけたいな」
私がそういうと、「それも話してみようか」と雪が言った。
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