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それから時々雪が怪我をするようになった。
なんだかおかしいなと思って雪に聞いてみても雪は何も話さない。ただ「自分の不注意で怪我をした」と主張してくる。
「ほんとに雪が自分で切ったの?」
今日は腕に切り傷があった。おかしい。こんなの不注意とかじゃありえない。
「ほら、雪、桜。学校へ行っておいで。明日から夏休みだから帰ったら旅行の用意でもしよう」
裕太さんにそう言われ、雪から話を聞けないまま学校へ行く。
先生の話を聞きながら最近の雪の行動を考える。雪は最近この家の主人、裕太さんの父親の部屋によく行くと話していた。もしかすると彼が……。いや、でもそんなことしたとして、バレたときの彼の名は汚れる一方だ。
「はい、皆さん、遊ぶのもいいですけど、課題は必ずやってきてくださいね。解散!」
先生のその言葉でみんな一斉に教室を出る。
私も数人の友達と夏休みに会う約束をし、教室から出る。
「雪!」
もう雪は学校でも普通に話してくれるようになっていた。
私は雪と車に乗って帰る。
「雪、傷のことなんだけど」
私がそういうと雪はやっぱり「私の不注意よ」と話す。
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