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すると男からの質問攻めがはじまる。
「何歳からあそこに?」
「3歳からです」
「そうか。花魁にはいくつのときに?」
「14のときに」
「好きな男は?」
「おりません」
「恋をしたことは」
「お金にならあります」
「やめたいと思ったことは?」
「そのような感情で辞めれる場所ではありません」
「なら死にたいと思ったことは?」
「死ねるか。と思ったことならあります」
「ほほう、面白い女だ。気に入った」
「お褒めに預かり光栄です」
なるべくすぐ答えるように、神経を尖らせながら話をする。
相手を怒らせてはいけない。
私の命はこの人次第なのだから。
最後に男が少し笑みを見せたように感じ、ほっと胸をなでおろす。ここで嫌われてしまっては元も子もない。緊張した空気の中、車が大きなお屋敷の前で止まる。運転手に扉を開けられ、外に出る。
男に渡されたコートを着て黒い、大きな門をくぐる。
玄関にはすでに彼の息子と思われる人が立っていた。
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