第一章「 はじまり。 」

2/4
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
円堂(えんどう) (かおり)である。 美好とは小学生の頃からずっと同じ学校に 進学し続けており幼馴染みでもある。 「 あんたの所、祭りするんだって? 」 狭い地域な上に、ご近所に貼り出された 神社の祭りの広告はあっという間に 周知されていたようだ。 「 そんな事してまで神様なんか守る必要 あるのかなぁー・・・。」 「 神社の孫娘のあんたがそんな事言って どうするの??」 「 神様がいるなら、最上先輩と付き合えるように して欲しいなあ~ 」 呆れ返った親友の顔を横目にクスッと笑う。 ー神様なんて、居るわけない。 小さい頃から今も変わらずそう思っている。 もしも神様が居たのならばあの時どうして 助けてくれなかったのだろうと咎めたくなる。 一日の授業を終えて疲弊(ひへい)した身体で 自宅へと続く帰路を辿っていく。 学校からもよく見える山の上に(そび)え立つ 神社こそが私の自宅なのだ。 長く続く山道を登っていると 白髪の少年を見掛けた。 (山の中で何してるんだろう。この辺りは誰も 住んでない筈だし……。) 少年の風貌に違和感を感じながら 美好は声を掛けた。 「 あのー・・・。 」 振り返った少年は綺麗な白髪で 無造作に伸ばされ左分けにされた 前髪は目に掛る程に伸び切っていた。     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!