第一章「 はじまり。 」

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何よりも少年の服装に違和感を 覚えずにはいられない。 もう祭りが催されていると 勘違いしたのだろうか少年は 白の着物に身を包んでいたのだった。 美好の声に応答する素振りを見せず 黙り込んだまま少年はジッと彼女を 見つめた。 「 お祭りはまだなのよ、ごめんね。」 美好は続けてそう言うが少年はひと言も 話そうとはしない。 外は段々と暗くなり始めていた。 「 お家に帰らないとお母さん心配しちゃうよ? 」 推測でしかないが、きっとこの子は10歳くらいの 少年であろうと美好は考えた。 「 月が満ちた時、迎えに来る。 」 少年は、くるりと美好に背を向けると そう低い声で呟くと姿を眩ませた。 「 何、今の……? 消えちゃった……ははっ。 」 普通の人間ではない。 霊的なものか、それとも化け狐か。 神経を尖らせ思考回路を巡らせた。 しかしながら、答えは見つからない。 美好は、ゾクゾクと恐怖で身体を 震わせながら神社へと足速に帰宅した。 「 じいちゃん、満月って次いつだっけ? 」 帰るなり美好は祖父に焦り気味に尋ねた。 「 次は、明日じゃのう。祭りと重なって 神秘的だと思わんか? まるで月から神様でも 降りて来そうではないか 」 ケラケラと笑っている祖父を前に 美好は先程の少年の存在が 満更にも思えなくなっていたのであった。 もしかすると、あの子は神様か何か なのではないのかと。
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