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俺の部屋はシンプルな方だと思う。 本棚に勉強机、ベット、タンス、クローゼット、普通の机。 あるのはそれだけ。 でも部屋は何度だって言うが、無駄に広い。 着ていた、制服をクローゼットのハンガーにかけると、タンスから和服を取り出す。 ウール地の単着物だ。この時代洋服を着ている人が多く、着物は動きずらいとか思われがちだけど、礼装とかじゃなくて、普段着のものなら洋服と変わらないと思う。 俺は紺のウール地のものがすきだから、いくつかストックしてある。 …因みに、和服を着るのは俺と父さんと母さんの3人だけ。 部屋を出ると、真っすぐに藍の部屋に向かう。 藍の部屋に行くには広間の前を通らなくてはいけないから、静かに足音を立てないように通る。部屋の中から兄の元気な声と父の声が聞こえる。 壱さんは話していないのか兄と父以外の声は聞こえない。 ___コンコン 「はぁーい」 藍の部屋のドアをノックすると中から元気な声が返ってきた 「俺だよ」 「いらっしゃいお兄ちゃん!さ、入って入って!」 藍に促され、部屋の中に入る …藍の部屋は相変わらず、物が多い。 女子だから、服とかカバンが多いのは分かるけど、ぬいぐるみも多い。 まぁ、俺の部屋じゃないし全然良いんだけど…。 「あのね、今日は数学教えてもらいたくて…」 「うん、いいよ、どこ?」 「うーん。中二のとこ復習したいなぁって思っててね」 「関数、苦手だもんね藍は」 関数なんて難しいことなんて一つもないのに藍は苦手らしい 何回か教えてるんだけど、2年のは難しい単元が多いから混ざってしまうらしい 「そうなんだよねぇ、、2年のとこバッチリやっとかないと」 「だったら2年の時にちゃんとやっとけばいいのに…」 「むぅ…」 むくれた藍を慰め、教科書とノートを開かせる。 教科書と言っても、本屋とかで買えるテキストだ。
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