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「…増加量を求めるときは、公式に当てはめないと…」
机に突っ伏してやる気がない藍だが、間違っているところを教えている。
「もぅ、無理だよぉ…」
「無理って…藍が教えてって言ってきたじゃん」
「そうだけどぉ、…疲れちゃった。」
そういっていたずらっぽく笑う藍。
…何が疲れちゃっただよ。
お前の勉強を見てるこっちが疲れてるっていうのに
「ねね、お菓子貰いに行こ!」
「行ってきなよ」
お菓子を貰いに行くってことは厨房まで行かなきゃいけない。
今いる、藍の部屋は二階で、厨房は一階。
しかも、藍の部屋は南側、厨房は北側…真逆の位置なのだ
…めんどくさい
「えぇ…お兄ちゃんも!!」
そう言って藍は強引に腕を引っ張る
ちょっと強引なところは昔から変わらない。
「わかった、わかったから、腕離して」
そう言うとすんなり話してくれた。
つくづく俺は藍に甘いと思う。
玲兄があまり藍に構ってあげられなかったから。というのもあるけど、小さい頃からすごい藍が可愛くて、一緒に遊んであげてたらいつのまにか一緒にいることが当たり前みたいになった。
「お兄ちゃん下まで競争ね!!!」
前を歩く藍が笑って言う
「はぁ…?壱さんが来てるんだから…って藍!!!!」
俺の言葉を無視して走り出した藍。
いやダメだって!!!!!
壱さんって話聞く限り怖い人だし、
そんな人がいるのに騒いだら怒られるでしょ!?
それだけはマズイって…
「藍!!走るな!!!!」
「えー!!無理ー!!!」
俺が追いかけてくるのが嬉しいのか喜んでいる。
喜んでる場合じゃないって…
藍が広間の前を通りかかると同時に、襖が開いた。
「きゃっ…!?」
それにビックリしたのか、何もないのに転んだ藍。
何やってんの本当…。
頭が痛くなってくる…。
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