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…怖い。こんなの初めてで分からない。
「…祐。」
ダメ…甘い声で呼ばないで…。
「祐…」
抱きしめられる。逞しい腕に抱かれる。
「やっと見つけた、」
そう言って壱さんが笑った瞬間、
すごい量のフェロモンが体から溢れ出し、充満する。
おかしくなる…
「…ダメ、壱さん…。離して…」
そう言っても壱さんは離してくれない
壱さんの体は温かくて、αのフェロモンがすごくいい匂いだ。
「やっと見つけたんだ。離すわけねぇだろ」
そういうと、壱さんは俺の顎を掴むと上に向かせ、乱暴に唇を重ねてくる。
「…んぅ、あぅっ…んん、…っ」
ビックリしすぎてついていけない。
キスに答えるだけで精いっぱいだ。少し開いた俺の口の中に壱さんの舌が入ってきて、口内をまさぐるように動かす
舌を引っ込ませるが、舌の根元から壱さんの舌が絡みつき、離してくれない。
(…ディープキスだなんて…キスすらも初めてだったのに…)
でも壱さんはキス、初めてじゃないと思う。
壱さんは今年で二十一歳で、独身の身だから言い寄ってくる女の人は少なくないと思うし、すごくモテると思う
だからキスの一つや二つも経験済みでもおかしくない。
「…ま、って、…んん、見て、る…、から…っ」
キスの合間にそう言うと、組員は藍を連れて、そそくさと出て行ってしまった。
そうじゃなくて、壱さんにダメだって言ってるのに…。
体が熱い…
「んぅ…。っ…い、ち…さ…んん…」
瞑っていた目を開けると、壱さんは目を開けていたのか目が合う
「…ふっ、可愛い顔して…そんな蕩けた目で、誘ってるのか?」
そう言って意地悪そうに笑う。
誘ってるわけじゃない…でも抱かれたいって本能が言ってる…
こんなの可笑しい…そんなの分かってる
壱さんは今日、初めて会ったんだ。
もし、運命の番だとしても、今日初めて顔を合わせたんだ、さすがに番うのは早いんじゃないかと思うけど…体が熱すぎて…まるで壱さんを求めているような…。
もう頭がクラクラしてわけわかんないよ…
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