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俺と壱さんが初めて会ったのは一年前くらい。 高校一年生の夏だった。 _______________________ 学校が終わると、校門のところに止まっている黒のセダンに乗り込む。 下校する生徒の視線が向けられるがもう慣れたことだ。 ドアを開け中に入ると、冷房の涼しい風が体の熱を冷ましてくれる 「お疲れ様です。祐さん」 そう言ったのは運転席に座る、長谷部。 「祐」は俺の名前。 橘組の次男、橘 祐。それが俺。 橘組は父で9代目になり、父の後は兄が継ぐことになっている 長谷部は、俺が小さい頃からのお世話係みたいな人で結構な付き合いになる。 小さい頃から『ヤクザの息子』だからと、周りに一線を引かれることもあるが 橘に生まれたからって別に嫌だというわけではないし 父の後を継ぐのは兄だから面倒なことはないから別にどうでも良かったりする。 「外は暑かったでしょう?」 そう言って長谷部が冷えたお茶を渡してきた 「…ありがとう」 こういう小さな気づかいが長谷部らしい。 ペットボトルのお茶を飲みながら、変わりゆく景色をボーっと窓から見ているいつもの帰り道。 そこで、ふと思い出した 「…あの、さ。病院寄ってくれない?」 「病院…?薬ですか?」 「うん…」 月に一度、薬を貰うために病院に行く。 薬とは…簡単に言えばピル。 …発情抑止剤だ。 なぜ発情抑止剤を飲むかというと まず、世界には6種類の性別がある。 男の、「α」「β」「Ω」 女の、「α」「β」「Ω」 男の「Ω」と、女の「α」「β」「Ω」は妊娠することが可能で 人口の割合は、βが一番多く、次にα、Ωとなっている。 人口の一番多くの、βはいわゆる普通の人間で男女ともに普通の性器を持っている αは有能で社会的地位が高いとされていて、Ωに対し急性的な発情をすることがある Ωは、男女ともに妊娠が可能で一定の周期で発情期がくる。発情期には特殊なフェロモンでαとβを誘惑してしまうとか。
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