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壱さんと話をして、父さんたちが待つ和室へと向かう
一応、認めてくれたらしいけどまだわからない。
自慢じゃないけど、
父さんと兄さんは俺たちを…いや、家族が大好きで、他人からみるとすごい溺愛っぷりなのだ。
…って言っても俺からしたら恥ずかしいから止めてほしい
小学校までは兄さんと父さんに可愛がってもらうのは嬉しくて、友達がいなかったぶんすごく甘えたりもしていた。
でも中学に入ってから、抱き着かれたり頭を撫でられたりするのが恥ずかしくて、避けていた時期があったけど、2人に泣きつかれて避けるのはやめた
隙あれば撫でてくる兄さんは、俺が高校に入ってからも変わらない。
父さんは少し治まった方だけど…。
「大丈夫か、祐」
うつむき加減で歩いていた俺の顔を覗いてくる壱さん
「やっぱり今日はやめとくか…?」
「だ、大丈夫です…っ」
本心は行きたくない。
壱さんは認めてもらえた。って言ったけど、俺が話をして父さんたちの考えが変わるかもしれない。…そうなったら嫌だ。
でも行かないわけにもいかないから…気分が乗らない
「ひぁ…ッ!?」
ボーッとしていると、壱さんの指が俺の首を伝いぞわぞわした。
「な、なんですか急に!!」
ビックリして声を上げると、壱さんはクスクス笑っていた。
いや笑ってる理由がわかんないんだけど…
「そんなに気を張るな、大丈夫だ」
…『大丈夫』
一番信用できない言葉。
でも、彼が言うとどこか大丈夫な気がする。
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